NOVA 猿橋望元社長、2審も実刑判決=大阪高裁判決(12月2日)

「NOVA」社員積立金横領罪で2審も有罪の猿橋望は悪質か               
経営破綻した英会話学校「NOVA」の社員積立金3億2000万円を流用したとして、業務上横領罪に問われた同社元社長、猿橋(さはしのぞむ)被告(59)【写真上】の控訴審判決が2日、大阪高裁(的場純男裁判長)であった。的場裁判長は「横領金は会員への解約払戻金に全て充てられた。個人利得はない」として、懲役3年6月の実刑を言い渡した1審・大阪地裁判決(昨年8月)を破棄し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。弁護側は上告する方針。(毎日新聞

実刑は免れなかった猿橋元社長ではあったが、昨年8月に言い渡された一審判決から一年も軽い量刑となった。横領事実は認定されたものの、個人的な利得が目的ではないと判断され軽減されたからだ。
私自身も、NOVA破綻と騒がれたころ猿橋本人に直接取材を行い、個人的な利得が目的ではなかったと感じていた。当時の猿橋は「NOVA」を守ることだけを考えていたのだ。
そして、資金繰りの悪化から経営破たんの危機を迎えた猿橋は、藁をもつかむ思いで無理のある増資に踏み切った。NOVAの資本金(当時)からすると考えられない64億円もの第三者割当増資(新株予約権発行)だった。
だが、このファイナンスを相談した相手が、関西最後の大物仕手筋と呼ばれた西田晴夫であったため、そのシナリオは大きく狂ってしまった。当初の計画では、英国領バージン諸島に籍を置く2社のファンド会社を引受先として新株予約権発行、その後西田主導で株価を引き上げる作戦であったのだが、反猿橋派役員の造反と西田の逮捕によって頓挫してしまった。
引受先となった英領のファンド会社2社であるが、両社とも白杉恵子女史と呼ばれる女相場師がオーナーだった。猿橋から相談を受けた西田が仲間であった白杉恵子、菅原潮と考えたのが、このスキームだった。
英領にある白杉のファンド会社を引受先とすることと、その日本側窓口を阪中彰夫ソブリンアセット・マネジメントにするのを決めたのは菅原であったが、その意図は証券取引等監視委員会に対して、資金の流れを複雑化する狙いがあったのだろう。
もし、別の株価操作事件で西田が逮捕されなかったら、NOVAは延命できたかもしれない。しかし、増資の後、株価操作、株売り抜けというプロセスの反動は避けられず、結局は破綻していたであろう。
私は猿橋を擁護する気など毛頭ないが、自身の会社を守ろうと必死であったがための行動だったのだろうと感じている。
世間では、猿橋の横領事件について、その事実のみをもって悪質だと捉えているようだが、私にはそうは思えないのだ。